白鳥の湖
白鳥の湖 (はくちょうのみずうみ) はチャイコフスキーによって作曲されたバレエ音楽である。「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」と共に3大バレエと言われる。日本では当初、白鳥湖(はくちょうこ)と呼ばれていた。
○初演
1877年3月4日 モスクワ・ボリショイ劇場バレエ団が初演
振付:ヴェンツェル・ライジンガー
台本:ウラジミール・ペギチェフ,ワシリー・ゲルツァー
○蘇演
1895年1月15日 サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場バレエ団が蘇演
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ
台本:モデスト・チャイコフスキー
○日本初演
1946年8月9日 帝国劇場にて東京バレエ団が日本初演
振付:小牧正英
○作品の背景
ドイツの作家ムゼウスによる童話「奪われたべール」を元に構想が練られ、1875年、ボリショイ劇場の依頼により作曲。1876年に完成した。バレエが作られたのはロシアだが物語の舞台はドイツである。
チャイコフスキーにとって初めてのバレエ音楽であるが、初演は踊り手、指揮者に恵まれず不評であった。その後作曲者の書斎に埋もれていたが、プティパとその弟子イワノフによって改造がなされ、チャイコフスキーが亡くなった2年目に蘇演され好評を博した。
○たくさんの版
1895年の蘇演以降、多くの演出家によって様々な版が作られた。ストーリー、登場人物、曲順などかなり異なる。
ゴールスキー版(1933年)
ニコライ・セルゲイエフ版(1934年)
メッセレル版(1937年)
バランシン版(1951年)
ブルメイステル版(1953年)
ヌレエフ版(1984年)
プティパ版(1952年)
など
○一人二役
通常オデット(白鳥)とオディール(黒鳥)は同じバレリーナが演じる。全く性格の違う二つの役を踊り分けるのはバレリーナにとって大変なことであり、32回のフェッテ(黒鳥のパ・ド・ドゥ)など超技巧も含まれる。
プティパ版初演時、マリインスキー・バレエ団(キーロフ・バレエ団)のプリマ、 ピエリーナ・レニャーニが両方踊ったのが好評を得たため定着した。
○物語の最後
版によって様々だが大きく二つに分けられる。一つは、王子とオデットがともに死んでしまう悲劇的な最後。もう一つは、オデットの魔法が解け王子と二人で幸せに暮らすというハッピーエンド。
初版やプティパ版は悲劇で終わっており、二人は永遠の世界へ旅立っていく(昇天する)。ハッピーエンドは1937年のメッセレル版で採用され、ソ連を中心に広まった。
○あらすじ
版によって異なるが、おおまかには以下のとおり。
序奏
オデットが花畑で花を摘んでいると悪魔ロッドバルトが現れ白鳥に変えてしまう。
第1幕
王宮の前庭
今日はジークフリート王子の21才の誕生日。お城の前庭には王子の友人が集まり祝福の踊りを踊っている。そこへ王子の母が現われ、明日の王宮の舞踏会で花嫁を選ぶように言われる。まだ結婚したくない王子は物思いにふけり友人達と共に白鳥が住む湖へ狩りに向かう。
第2幕
静かな湖のほとり
白鳥たちが泳いでいるところへ月の光が出ると、たちまち娘たちの姿に変わっていった。その中でひときわ美しいオデット姫に王子は惹きつけられる。彼女は夜だけ人間の姿に戻ることができ、この呪いを解くただ一つの方法はいつまでも変わらない愛の誓いだけという話を聞き、王子は明日の舞踏会で彼女を花嫁として選ぶことを誓う。
第3幕
王宮の舞踏会
世界各国の踊りが繰り広げられているところへ、ロッドバルトと共に悪魔の娘オディールが現われる。王子は彼女を花嫁として選ぶが、それは悪魔が魔法を使ってオデットのように似せていたためであり、その様子を見ていたオデットは王子の偽りを嘆き湖へ走り去る。悪魔に騙されたことに気づいた王子は急いでオデットのもとへ向かう。
第4幕
もとの湖のほとり
破られた愛の誓いを嘆くオデットに王子は許しを請う。そこへ現われた悪魔に王子はかなわぬまでもと跳びかかった。激しい戦いの末、王子は悪魔を討ち破るが、白鳥たちの呪いは解けない。絶望した王子とオデットは湖に身を投げて来世で結ばれる。 メッセレル版以降、オデットの呪いが解けてハッピーエンドで終わる演出も出てきたが原典とは異なる。
○主要曲
序奏
ワルツ <第1幕>
情景 <第2幕>
四羽の白鳥たちの踊り <第2幕>
王子とオデットのグラン・アダージョ <第2幕>
ハンガリーの踊り(チャールダーシュ) <第3幕>
ナポリの踊り <第3幕>
終曲 <第4幕>
など
ハープの短い序奏のあと、オーボエがソロで主旋律を吹く「情景」(第2幕・第10曲、第14曲)が、本作品を代表する曲として、特によく知られている。
(資料:Wikipedia)